小説

華になれ(笹ヤコ)
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霞め取られる意識の中で、君を見た


「笹塚さん!!」

そう呼ぶ君の泣いた顔

俺死ぬんだ もう助かりゃしない

胸に穴が開いてることすら忘れる この朦朧とした意識の中

・・・お願い、笑って。 君の泣いた顔を見ながら逝くのは嫌なんだ

「弥子・・・・ちゃん」


君といた時間は 例えようもなく楽しくて

上手く言えないけどさ


「    」


ねえ 弥子ちゃん

人は死んだらどこへ行くと思う?

天国と地獄なんてあるのかな

もし また俺が何か生き物に生まれ変わって 君にまた会えたら


地獄のような苦しみ 報われることなくバッドエンド


さようならなんて言いたくないよ

手を伸ばすと重なり合うのに


「またね」


そう、余っているわずかな腕の力で 遠い君を撫でたんだ
笑顔を一つ 最後のプレゼントとして



―時は経ち2010年 春

弥子の家のベランダに、一羽の鳥

「わあ!お母さん見て!!白い鳥!!」
「あら、ほんとね。」

「どうしたのかな、お腹空いてるの?」

どう言うと、白い鳥は弥子の顔を数秒見つめた後、バサバサと青い空へ飛んで行ってしまった


「無愛想な鳥だなぁ。」


そう言って、弥子はくすくすと笑った


**あと垣**
笹ヤコバッドエンドなんて認めませぬ
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