1/1ページ目 机に突っ伏して寝ている彼の頭をそっと撫でた。いつも付けているバンダナは彼の右手にしっかりと握られている。逆の手には鉛筆が緩く握られており、机の端には今にも落ちそうなノートがある。俺は床に転がっている消しゴムを拾った。至って普通の消しゴム、ぶかぶかのケースと小さくなった中身を見ると今までどれだけ必死にネタを作っていたかがわかる。 相方の小春とする漫才のネタを今まで必死に考えていた。 前までは仲が良いな、などと微笑ましく思っていたものの、今となれば自身の心臓をキリキリと痛めつけている原因だ。馬鹿らしい、嫉妬なんて。それも友達で、部活仲間で、男同士。 彼…ユウジは小春が好きなんだろうか。前に聞いた時には「俺は小春が好きだ 」と即答された。それが恋愛なのか友愛なのかは別として、ユウジが小春を溺愛している事はハッキリわかっていた。 オサムちゃんからの指示でずっと一緒に居る小春とユウジは誰から見ても仲が良い、テニスをしている時は特に。自分が彼らの間に入ることは安易な事ではないと、ちゃんとわかっていたはずだ。 消しゴムを机の上に置くと俺はその前の席に座る。規則正しく肩が上下していた。彼の顔は見えないがきっと寝ている。 「ユウジ」 小声で投げ掛けてみても返答はなかった、寝ていると捉えていいだろう。今なら何を言っても良いんじゃないか、と思い浮かぶや否や俺は口を開いていた。 「好きやで、ユウジ」 目を伏せ、独り言のように静かに呟いた。放課後の教室には 俺とユウジ以外、他に誰も居ない。 「友達としてやない…ユウジが好きや。大好き。」 なんだか照れ臭くなりユウジの頭を撫でてみる。俺とは大違いのサラサラした髪に胸が跳ねた。ドクドクと異常なほど脈打つ鼓動に自分でも驚きを隠せなかった。 やはり、俺は、… 途端にユウジの捻り出したような声が聞こえた。それに驚いた俺は真後ろの机に背中をぶつけ椅子ごとひっくり返った。 「いっ、た…」 「何しとんじゃ、お前」 ぶつけた背中をさすりながら起き上がろうとしている所にユウジのくぐもった声が飛んできた。寝起きのせいだろう、それですら愛しく思える俺は本当にどうにかしている。 なんとか起き上がって机と椅子を元の位置に戻すとユウジは俺を睨み付けた。 「お前いつから居ったんや」 「ちょい前や」 「…見てへんやろな」 「見いひんわ」 机の上にあったノートをバッと取り尚も俺を睨んでくるユウジにへらへらと笑いかけた。ホッとしたように胸を撫で下ろすユウジを横目に、部活用のバッグに手を伸ばした。 「謙也」 「んー?」 「さ、…さっきの…」 「さっきの?」 「俺、…も…っ」 いつもとは違い、途切れ途切れに言葉を発するユウジに首を傾げた。なにか言いづらい事を言おうとしているのか、モゴモゴと口を動かしている。近付いて顔を覗き込むとユウジは顔を背けた。 「っき、嫌いやないわ!このドアホ!変態!死なすどクソボケ!」 それだけ言い切ると俺を押しのけ走って教室を出ていった。入れ 替わるように教室に小春が入ってくるとニヤニヤとした顔で俺に近付いた。 「ユウくん、素直になれへんのよねえ。ほんま、好きな人の前ではかわええとこあるんやから。」 それだけ言うと俺の方をぽんと叩きユウジと自分の分のバッグを持って教室を出て行った。 好きな人、と言う単語が気になった。ポジティブな事を考えるもまさかそれはと考えを打ち消し俺も続けて部活へ向かった。 ---------------------- あとがき よもちゃんありがとうううう! ほんと謙ユウ可愛くてやばいですほんとやばいです(真顔) [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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